どうしていいかわからない

今朝も9:00~17:00まで、私がお母さんの側にいる。

どうしていいか、わからない。

お母さんは、日増しに悪くなる。

でも、今日はまだ笑ってくれた。

メロンも食べたんだよ!

氷の粒も美味しそうに食べてくれるの。

「ほな、それでお願いします。」

というのがお母さんの口癖だけど

看護婦さんの中で、その言葉が可愛いと評判になると

笑顔で3回も

「ほな、それでお願いします。

ほな、それでお願いします。

ほな、それでお願いします。」

と言い続けるお母さん。

「ありがとう。ありがとう。」

と言うお母さん。

でも、日増しに悪くなる。

昨日まで、痛みのために一睡もしてないのに、今日は30分ほど、まとまって寝るときが増えた。

これもまた、看護婦さんからこれからお母さんに起こるであろう状況を教えてくれた内容と全く同じだ。

だから、嫌だ。

体が痛いからベッドの淵にへばりついて、ベッドの柵にしがみつかないと、痛みに耐えられないお母さん。

毎回の呼吸が、全力疾走のようなお母さん。

今日はお母さんの爪も切ってあげれた。

今日はお母さんの口にメロンを入れてあげれた。

今日はお母さんの足をさすってあげれた。

今日はお母さんとテレビを見れた。

今日はお母さんのお膳のパンを、私が食べた。

今日はお母さんとおしゃべりができた。

お母さん、お母さん。

土日は、夜、私が付き添うからね。

妹と私と、お母さんが産んでくれた娘のどっちかが、必ずお母さんの側におるからね。

また、一緒にテレビ見ようね。

お母さん、おやすみなさい。

木曜日

木曜日のお母さんはグッタリしていて、横になるばっかりだった。

今まで、5分おきには起きて、30分おきには何か口に含んで、痛いなぁと愚痴も言えていたのに。

急に私が小さかった頃の昔話を話したり、お父さんの話をしたり、急にお経を唱えだしたり、このまま別れてしまうのかととても怖かった。

急に口も大きく開けて息をするし、本当にドキドキした。

今は実家。

私は夜に休んで朝、妹と交代する。

妹は病院から直接仕事に行き、また病院に戻る生活だ。

私は寝る時間もあるけど、妹は、病室で寝られないだろうに。

毎日、悪くなる。

それが、こわい。

どこまでブログで書いたかな。

どこまで書いてないんかな。

わかんないや。

昨日は一旦家に帰って、仕事服や勉強道具をもって、今朝、病院にいてくれてる妹と8:30に交代しました。

昨日から、学校を休んでいます。

あと1週間、と言われて学校なんか行けないと思ったからです。

でも、今日はスイカを食べたり、一緒にテレビをみたり、楽しい時間も過ごしたんです。

「今はね、紀州のお金持ちの人の不審死でワイドショーは賑わっとるんやで。」

というと

「ほんまぁ。覚せい剤はいかんねぇ。お金目当てやろか。」

と返してくれるお母さん。

普通の親子の会話を楽しんだんです。

一緒に笑ったりもしたの。

幸せだった!

今、

妹からラインがきて、

「お母さん、パニックがひどいわ。」

と連絡がきてました。

痛みが強いので、まわりの人にキツく言ったり暴言を吐いたりします。

昼間はそうでないけれど、夜にひどくなるんです。

昼夜逆転してるそうです。

赤ちゃんみたいやね。

妹は今日、すでに3回、腕をつねられたそうです。そのあと、お母さんはハッと我に返って辛そうな顔をするんですって。

かわいそうなお母さん。

自分の意思でコントロールできんのにね。

腹水も尿も、真っ赤なお母さん。

お母さんからでてくるものは、みんな真っ赤っか。

見ていて辛い。

お母さん。

明日またいくけん、今日は少しでも寝られたらええね。

また明日いくね。

おやすみなさい、お母さん。

「みえちゃん、あなたが上なんやから、しっかりせないかんよ。足、戻して。」

「どこにおるん。はよう、はよ、きて。なにしよん。痛い。痛い。何とかして。」

「みえちゃんでは役にたたんわ。看護婦さんよんで。」

「ちょっと。口がくさいわ。にんにくくさい。気を付けて。」

お母さん、にんにくなんか食べてないよ。

さっき、お母さんがコーラを飲みたい。いうて、一緒にみえちゃんも飲みなさい。いうたけん、一緒に一口コーラ飲んだだけやん。

何でそんなこと言うん。

最後まで、私はどなんしたらええかわからん。

私が泣いてたら、お母さんが

「ごめん。ごめん。余計なこというたね。ごめんよ、みえちゃん。」

いうてくれたけと、涙がポロポロとまらんのよ。

でも、さっき笑ってお母さんの前に行ったらお母さんも笑ってくれて、また、涙がポロポロとまらんの。

聞きたいことや、言いたいことは山ほどあるのに、言葉になってでてこんの。

これが、最後で、今は確かに生きとるお母さんが目の前におるのに、何もできんの。

なんや。これ。

どなんしたらええか、わからん。

実家にて

今、実家。

妹と、お母さんを最期まで看る覚悟を決める。

お母さんはまだ病院。

そして、きっと最後まで病院。

二重扉の個室クリーンルームから、看護師詰め所の横の大部屋にお引っ越ししたのが、昨日。何かあったらすぐ駆けつけられるからとの理由で。

そして今日はまた個室へお引っ越ししたそうな。

たぶん、あんまり痛くてその声がみんなに迷惑かかると思ったのかな。

今日は妹がつきっきりだ。

私は、実家にとまって、犬のくうた君のお世話をする。

明日の朝、病院にいって妹と交代。

まさか、泊まると思ってなかったから、何も持ってきてないけど、なんとかなるもんだ。

化粧水もないので、勝手に引き出しをあけて借りる。

お母さんの匂いだ。

服もないので、お母さんの服をかりる。

そういや、これ、あの時、お母さん着てたな。

むかしむかし、私が子供だった頃、この家でいろんなことがあったのを思いだす。

不思議やね。

歯磨きがどこにあるかとか、洗剤がどこにあるかとか、どのスポンジを使ったらいいのか、全部昔と変わらず、わかるんよ。

お父さんの仏壇に手を合わせてお父さんに聞いてみた。

お母さんを連れて行くん?

今まで主が一人だった仏壇が、二人になったとしたら、私はとても悲しい気がする。

それが自分の両親だとしたら、とても悲しいと思う。

まさかほんまにこんな時がくるなんて。

お父さんの時もそうやったけど、私は最後まで、奇跡が起こるんじゃないかと思ってる。

実感が湧かないけど、刻一刻とその時は近づいているんだろうけど。

明日から学校は休もうと思います。

最期ぐらい、お母さんのそばにいてあげられた子供でありたいと思います。

お母さんのところ

学校が終わって

高速を使ってお母さんのところへ。

まるで、学校から病院まで、私のために繋がっているようなルートだ。どちらも、インターから降りて近いところにある。

お母さんはまたまた痩せていた。

呼吸も辛そうで、一つの呼吸が終わるたび、全力を使っているので、このまま全ての呼吸が終わってしまいそうな感じだ。

そばにいて、とても怖い。

この呼吸は…

お父さんの最期の時の呼吸に似ている。

嫌な呼吸だ。

痛み止めが強く働くせいか、朦朧とするお母さん。

だけど、小さな声で

「〇〇ちゃんと〇〇ちゃんは元気?」

と孫のことを気づかってくれる。

「今日は来てくれてありがとう。美枝ちゃんも、体、大事にせないかんよ。」

と、自分が一番弱いのに、私を気づかってくれる。

「いつもお父さんに、みんなのことを頼んどるよ。」

と話すお母さん。

今日、輸血をしたお母さん。

どこまで悪いんやろうか。

色んな薬を入れてるから、

退院して終末期医療に移りたいと思っても、受け入れてくれる先は、なかなかないでしょう。

と言われているお母さん。

腹水でお腹がパンパンなお母さん。

血尿がだんだん真っ赤になってきているお母さん。

心電図と点滴と酸素吸入で、体中がコードだらけのお母さん。

涙がポロポロこぼれて仕方ないです。

午前中授業

今日は午前中授業。

誰もいない休憩室だ。

少しほっとする。

ご飯食べたら、お母さんのところへお見舞いにいこう。

高速にのると早いかな?

でも、タイヤの溝がないんだよね…(´・_・`)

困った。

今日の夕方、新しいタイヤを交換してくれるよう、車屋さんにいくの。

バタバタ忙しい毎日。

心まで奪われないようにしよう。

いつも笑顔でいるようにしよう。

今日の新作は鶏肉とサツマイモのカレー炒め?(ガラムマサラ、チリペッパー)

2日目の炊き込みご飯をおにぎりにするのが大好きな山本でした。

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