今、実家。
妹と、お母さんを最期まで看る覚悟を決める。
お母さんはまだ病院。
そして、きっと最後まで病院。
二重扉の個室クリーンルームから、看護師詰め所の横の大部屋にお引っ越ししたのが、昨日。何かあったらすぐ駆けつけられるからとの理由で。
そして今日はまた個室へお引っ越ししたそうな。
たぶん、あんまり痛くてその声がみんなに迷惑かかると思ったのかな。
今日は妹がつきっきりだ。
私は、実家にとまって、犬のくうた君のお世話をする。
明日の朝、病院にいって妹と交代。
まさか、泊まると思ってなかったから、何も持ってきてないけど、なんとかなるもんだ。
化粧水もないので、勝手に引き出しをあけて借りる。
お母さんの匂いだ。
服もないので、お母さんの服をかりる。
そういや、これ、あの時、お母さん着てたな。
むかしむかし、私が子供だった頃、この家でいろんなことがあったのを思いだす。
不思議やね。
歯磨きがどこにあるかとか、洗剤がどこにあるかとか、どのスポンジを使ったらいいのか、全部昔と変わらず、わかるんよ。
お父さんの仏壇に手を合わせてお父さんに聞いてみた。
お母さんを連れて行くん?
今まで主が一人だった仏壇が、二人になったとしたら、私はとても悲しい気がする。
それが自分の両親だとしたら、とても悲しいと思う。
まさかほんまにこんな時がくるなんて。
お父さんの時もそうやったけど、私は最後まで、奇跡が起こるんじゃないかと思ってる。
実感が湧かないけど、刻一刻とその時は近づいているんだろうけど。
明日から学校は休もうと思います。
最期ぐらい、お母さんのそばにいてあげられた子供でありたいと思います。