「みえちゃん、あなたが上なんやから、しっかりせないかんよ。足、戻して。」
「どこにおるん。はよう、はよ、きて。なにしよん。痛い。痛い。何とかして。」
「みえちゃんでは役にたたんわ。看護婦さんよんで。」
「ちょっと。口がくさいわ。にんにくくさい。気を付けて。」
お母さん、にんにくなんか食べてないよ。
さっき、お母さんがコーラを飲みたい。いうて、一緒にみえちゃんも飲みなさい。いうたけん、一緒に一口コーラ飲んだだけやん。
何でそんなこと言うん。
最後まで、私はどなんしたらええかわからん。
私が泣いてたら、お母さんが
「ごめん。ごめん。余計なこというたね。ごめんよ、みえちゃん。」
いうてくれたけと、涙がポロポロとまらんのよ。
でも、さっき笑ってお母さんの前に行ったらお母さんも笑ってくれて、また、涙がポロポロとまらんの。
聞きたいことや、言いたいことは山ほどあるのに、言葉になってでてこんの。
これが、最後で、今は確かに生きとるお母さんが目の前におるのに、何もできんの。
なんや。これ。
どなんしたらええか、わからん。