魔女の株式会社

今日は春分。

いつ、表舞台に出そうかと

思案していたけれど

このままだと

心に秘めていそうだから

表に出してあげようと思います。

これから先

私はどんな仕事をして

この世での

自分の使命を

果たすのか

わからないけれど

私の魂は

違うところにいる気がするので

私の人生の

終着地点まで

ゆっくり私の魂を

休ませてあげたいと思います。

私は子供の時から

何かを待っていて

これから先も待っているように思うので

この世で生を受けている間

私は

その何かは

何かを

探していきたいと思います。

私は以前

満月が好きでした。

力が満ちて特別な力があるように感じていたからです。

満ちた月の力は

地上に等しく

降り注ぎます。

気付こうが気付きまいが

等しく降り注ぐのです。

そんな大きな優しい月の力を

みんなにわけてあげたいとも思いました。

私は魔女になりたいと思うただの人間ですが

満月というだけで

幸せが増えるのです。

満月の光りを浴びた夜露の水滴はこの世の全てを浄化するようにも感じ

月が満ちる瞬間には

地上に生える植物が

一番美しくも思います。

魔女でありたいと思う限り

私は

この地上の豊かさを

魔女でなかった時よりたくさん

感じられるようになりました。

私は

この世に

魔女をたくさん増やしたい。

何気ない日常の

切り取った瞬間が

たまらなく愛おしく思える魔女を

どんどん増やして

この世に愛が溢れることを

本気で願っています。

そして

不思議な月の力を

人に伝えることで

私は

私の想いを届けたい。

満ちる月を

素敵ですね。

と言ってくれた人が昔いました。

私はそれが嬉しかった。

私のこの変わった気持ちを理解してくれたようで

嬉しかったんです。

これから先

私は

私なりに

一人

行動していたいんです。

私が子供の頃から感じていた

この“何かを待つ”

ということを

満ちていく月が

素敵だと言ってくれた人に

感謝の気持ちを込めて

私の生涯の活動としたいと思います。

それが

魔女の株式会社

です。

満月の不思議な力を

たくさんの人に伝えながら

私は

何かを待ち続けます。

私は何を待ってるんだろう。

これは

壮大なラブレターなの。

すごいでしょう?

会社の理念が

ラブレターだなんて

こんな会社

世の中に

私ぐらいしかしないです。

今世での役割を

私は私なりに努めます。

見よってね。

私はいつもこの世で心迷う人の幸せを願っています。

と、長く前置きがありましたが

さぁ。

ここからが本番です。

本日、春分の日をもって

私は

一人

満月の力を広める

会社を作りたいと思います。

今は名前だけだけど

満月にちなんだ商品を作って

私はいずれ

本当の会社にしたいと考えています。

そのために

本日、この世に

この会社の理念を公表し

私は精一杯

この世で

生きていくことを誓います。

魔女の株式会社

あるところに
神様の庭で
仲むつまじく過ごす
男と女がいました。

2人は一緒に過ごすことが
とても幸せで
毎日笑っては抱き合い
毎日抱き合っては笑っていました。

女は男から自分の名前を呼ばれるのが
好きでした。
優しく響く声で
名前を呼ばれると
この世の全てが
自分に語りかけているように感じるのでした。

男は女に触れるのが好きでした。
柔らかな頬をそっと撫で
優しい髪をすくと
荒れ狂う自分の心が休まり
人を愛しむ力が沸くのです。

2人はいつも一緒でした。
片時も離れる時なく
いつも
いつも
一緒でした。

そんな2人は
ある日
毎朝行かねばならない
神様への朝の挨拶の仕事を
すっかり忘れ
約束の時間になっても
挨拶に行きませんでした。

神様はたいそう怒り
来世では
2人を別れさせて過ごすよう
別離の罰を与えることにしました。
そうすることで
2人に仕事をすることの大切さを理解してもらいたかったのです。

神様は
女に
来世で男を忘れてしまう罰を与えました。
来世で2人が出会ったとしても
女は男だと気付かず過ごしてしまうのです。
たくさんの人がいる中で、どうやって男を見つければいのか、途方にくれ、女はさめざめ泣きました。

男には
来世で2人出会えたとしても
女には触れることができない罪を与えました。
男は女と触れ合い
いつもお互いの存在を確かめていただけに
その罰は男にとって
大変な試練でした。
その罰を知ったとき
男は絶望のために
毎日泣き続けました。

それから2人は
その世での命を終えるまで
毎日悲しみの中で過ごしました。

女が先に命を終え
後に男が命を終えました。

そして幾年が過ぎ
女が先に生まれ
後に男が生まれました。

お互い別々の地に生まれ
決して会うはずのない2人でしたが
お互い引き寄せられるように
同じ場所へと移ろい
年を重ねていきました。

そして
いよいよ
2人が出会う時がやってきました。

その日の空は大きく吹き荒れ
大粒の雨が降り注ぎ
二人の出逢いを
天がざわめき
驚いている様子でした。

そして2人は出会うのです。
女はただただ
涙がとまらず
自分の涙が不思議で
息をするのもやっとでした。

男は女と出会えた喜びに
大きく体が打ち震えました。
ですが神様の罰のため
女の体に触ることができませんでした。

お互い、会う機会が増すごとに
女は涙がとまらず
男はもどかしいばかりでした。

女は心を寄せる事ができず
男は体を寄せることができず
悲しみの中にいたのです。

あるとき、男は触れられないならば、と
光る小さな石を2つ
女にプレゼントしました。
1つは
涙の代わりに
少しでも笑顔を贈れるようにと
太陽のように温かい力がみなぎる
太陽の石を。
もう1つは
月が満ちる日だけでも
自分を思い出してくれるように
月の石を
プレゼントしました。

女はその石がなぜかとても愛おしく
いつも胸につけて過ごすことにしました。
すると、石を胸にあてて過ごしている間は
悲しい気持ちを休めることができたのです。

そんな時間を過ごしながら
やがて今世での別れの時がやってきました。

今世では、男と女はそれぞれの生活があったのです。

日増しに女の涙は
増えていきました。

やがてその流れ落ちる涙は
胸元に付けた
太陽の石と月の石に触れました。

太陽の石と月の石は
その女の涙を
そっと受け入れました。

するとどうでしょう。

女の悲しみに満ちた涙が
石を伝い
月夜を広げ
月夜は一瞬にして
満月になったのです。

女ははじめて男の顔をしっかり見ることができました。
男ははじめて自分の手が女の体に触れることができることを知りました。

男は恐る恐る
女の肌に
触れました。

女は涙の中で
男は昔
悲しみの中で別れた
愛おしい男だったと気付くのです。

2人は抱き合い
心を寄せ合いました。

ですが、その魔法の時間はすぐに終わります。
男の手は強ばり
女の目には涙が溢れ
2人はまた引き離されるのです。

それでも2人出会ったその時の
互いの涙があまりに美しいので
月は2人を許すよう
神様に乞いました。

神様は
今世で
2人が別々の場所でも
それぞれの務めを果たし
その命を
他の人の幸せのために
しっかりと使うのであれば
来世はともに過ごさせることを
約束しました。

2人は
心から神様に
感謝の気持ちを伝えました。

そして
この命を
他の人のために使うことを約束しました。

その2人の心が
迷いのない
美しいものだったので
月夜は2人に小さなプレゼントを贈ることにしました。

それは
満ちた月の時だけでしたが
今世で
お互いを見つけ
お互いに触れ合うことができる
贈り物でした。

2人は満月の時だけ
触れ合うことができるようになりました。

心を寄せて
男は女の名前を呼び
女は男の頬を優しくなでました。

男と女は幸せでした。
満ちた月夜だけではありましたが
お互いがお互いを愛することができるその幸せを
心から喜び
神様に感謝しました。

2人は今世もどこかで生きています。
来世で一緒に過ごせることを
願いながら
別々の場所で
懸命に生きています。

月夜には
不思議な力が宿ります。
決して会うことのない2人を
結ぶほどの力です。

みなさまに
この寛大で
優しく
慈しみ深い
月の力が
届きますように

満月の不思議を届ける

魔女の株式会社

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